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釣り場で聞いた少し怖い話

 第3章( 十六話〜   )


釣り場で聞いた少し怖い話  怖い話・第十六話 見てはいけないモノ 釣り場で聞いた少し怖い話


 
  世の中には見ては行けない憑(もの)があります。 霊感のある人…無い人…見る確率も
 人それぞれなのですが、水に関する場所には特に霊魂なるものが多く集まるそうです。

  池や川…海や雨の日、毎日の風呂やシャワーの時… 急にゾッとした時は近くに霊が居るの
かもしれませんね。
  今回はいろいろな霊の中でも悪霊となってさ迷う悪霊のお話です。


 


  そこはあまり釣り人に人気の無い港でした。 特に釣れないと言う港ではなく、小さな島で
 今は使われてない船が多い場所ででした。 少し歩けば細々と漁をしている民家が数軒並んで
 いますが荒れ果てた港といった釣り場です。
 
  「じゃあ、今日は俺だけで行って来るよ」

  金曜と言う事もあり渡船店には釣り人もまばらで、しかも一緒に渡る筈だった連れが急に
 来れ無くなりました。 仕方ないので自分だけで予定通りその釣り場に渡ったのです。


  午後 16:00

  まだ日は高くお目当てのチヌの気配もありません。 特に釣りをするでもなくダラダラと
 時間が経つのをまってました。 通しで渡ったので、迎えは明朝7時です。  釣る時間は
 たっぷり時間はあります。

  2時間ほど経った頃、辺りが暗くなり始めました。 ちょうどその頃、一人の老婆が自分の
 居る堤防の方へ歩いてきました。 

  「こんばんわ …」

  この釣り場は何度か訪れてるのですが、人に合ったのは初めてです。 まあ数軒の家がある
 ので島民は居るのですが滅多に出会う事はありませんでした。
  老婆は特に挨拶を交わす事も無く、ぐるっと見回しながら…

  「朝まで釣りをするんかね?」

  「えッ …ええ、チヌを釣るんですよ」

  「… 」

  返事がありません。 耳でも遠いのかなと思った瞬間に…

  「気をつけた方がええ …  こんな日はこの海で死んだ憑たちが寄って来るんじゃ」

  「は? はあ」

  まあ、老人は特に迷信とかを言うものです。 それにしても嫌なことを言う不気味な
 婆さんだ。
  確かに天気予報では曇りですが風も無く雨の気配はありません。 ただ気になるのが霧の様
 な物が出てきてるのですが、今夜は満月なので足元も明るいです。

  老婆は去り際に口を開き言いました。

  「 …水の音じゃ。 水の音が近寄って来たら目を閉じて見ない様にすれば、その憑は何も
  できゃあへん」

  「そ、そうですか… あはは」

  「 何があっても絶対に見ない事じゃ 」 去り際に小声で告げました。

  「 …  」

  最初は気になってた老婆の言葉も、釣りを始めると忘れてしまいました。 大好きなチヌ
 釣りなので時間の経つのを忘れて釣りを楽しんでました。

  どれほど経ったのでしょうか…

  蒸し暑くなりお目当てのチヌの当りも一向にありません。 小さい漁港とは言え他の釣り人
 も居ないのでまだまだ釣り場はあります。

  「だいぶ歩いたな…少し戻るか…」

  クーラーの置いてある堤防の先端の方へ戻ろうとした時です。


  ビシャッ!

  自分の真後ろで魚の跳ねる様な音がしました。 おっ!とは思ったものの、特に後ろを確認
 する事も無く歩き始めました。

  ズル〜 ズッ ズッ… 背筋の凍る音でした。 明かに堤防の上に海面から這い上がる音な
 のです。たくさんの釣り人が居る場所なら振り向きもしますが、この釣り場には自分以外の
 気配は全く感じられません。


  ズル… 全身系は後ろの物体に注がれますが振り向く勇気はありません。 全ての感覚が
 この世で見てはいけないモノを感じさせたのです。

  ご、ごくり… 息を呑み、その場を離れるように歩き出します。 全身に鳥肌が立ち竿を
 持つ手がガクガクと震えます。
 
  とにかくこの場を離れたい… 恐怖に震えながらも堤防の先端に向かって歩き始めました。

  ビジャ…ビジャッ…ビシャ…

  その音は明らかに大量の水を含むモノが近づいてきている音です。 堤防の先端まで間が
 無くなり後ろからの何かに追いつかれそうになります。

  「うっうわぁああ〜」

  ビシャッ ビジャ … ビシャ …

  大の大人が悲鳴をあげ転がるようにして逃げました。  もっもう駄目だ! 前には海しか
 ないのです。
  後ろからの水の音は確実に近づいてきます。 

  「わぁあああ! 来るな!」 振り返ろうとした瞬間、老婆の言葉を思い出しました。

  目を閉じて見なければ何も出来ない、霊とか幽霊の類は信じないのですが、とっさに老婆の
 言葉に従い目を閉じました。


  ビシャ…ポタポタ ビシャッ…ポタ 

  近づいてくると水の滴る音まで聞こえてきます。 ガクガク震える足と硬直した身体で目に
 力を込めて瞼を閉じます。

  来るな、早く消えてくれ!!

  

  空気の動きと水の滴る音でその何か判らないモノが自分の直ぐ横まで来てるのを感じます。

  ズリ… ズルル…  水の音と肉が地面に擦れるような嫌な音が自分の周りを回り始めました。

  額に流れる汗が喉にまで滝のように流れます。蒸し暑さの為などではありません。 自分の
 置かれた立場、この世では絶対に見てはいけないモノが自分の直ぐ周りに居るのです。

  ズルズル 吐き気を催すような鼻を突く異臭がたちこめます。 強烈な腐乱臭に肉か衣服を
 引きずる様な音…

  信仰心の無い私でも神に祈るしかありませんでした。
 ただひたすら目を閉じて、ガクガク震えながら念仏を唱えました。

  「南無・妙…法連……」

  一心不乱に念仏を唱え、どれくらいの時間が経ったのでしょう… ふ…と気が付くと引きずる
 音が消えていたのです。 

  ハッ 目を開ける事は出来ませんが…水の音と引きずる音はきえてました。

  「目を閉じて見なかったのかねぇ 〜 」


  ドキリッ いきなりの声に全身が強張ります。 夕方に会った老婆の声です。た・助かった
 全身から力が抜け、腰が抜けました。 

  「さあ、目を開けなされ 」
  「 は、はい  ハハハ… 」 訳のわからないモノからの開放感と安堵感に立つ事も出来ず
 に目を開けようとした瞬間。

  ムッと鼻を突き上げる腐敗臭に驚愕の声を上げました。

  「うわぁあああああ」 嘔吐を催す腐敗臭に後ずさり、堤防の波返しに背中があたりその場に
 座り込んでしまいました。

  「来るなぁあああ」 目を閉じて恐怖のあまりに泣き叫びながら手に持ったままだった竿を
 振り回します。 

  ズリッ… ズルル…  また肉を引きずるような音と水の滴る音が周りで動き出しました。

  ピピピッ この場に合わない電子音にひきつけられます。 この音は腕時計の音で、午前3時
 を知らせるアラームでした。

  ま…まだ、辺りは真っ暗だ!! 迎えの渡船まで4時間以上の時間がある…

  やはり目の前に居るのは、夕方に会った老婆ではない! 何か判らないが、この世で絶対に
 見てはいけないモノが目の前に居るのを感じました。

 「来るなぁあああああ〜わぁああああぁぁ 」


  そのまま力尽きるように気を失い、気が付いたのは翌日の早朝、迎えの船が来てでした。

 「おいっ! 大丈夫か!! 」

  揺さぶられて、とっさに目を開けてしまいました。
 
 「うぎゃぁああああ」

 「な!なんだぁ!! ワシの顔がそんなに怖いのか」

  目の前には渡船屋のオヤジが居ました。 

 「しかし… 大雨か大波でもあったのかぁ?」

  渡船店のオヤジが不思議そうに言います。 そう思えるほどに堤防のコンクリートは海水で
 ビッショリと塗れていたのです。 夕べは穏やかな海だったそうですが、この堤防にこれだけ海水
 が被るのは絶対にありえませんし雨も降っていません。


  帰りの渡船の中、渡船店のオヤジが話してくれました。 数年前の台風で数軒しか無かった港町
 も被害を受け、現在は誰も島民は住んでないそうです。 

  最後まで残っていたお婆さんも、ある日を境に見かけなくなったそうです。 海へ落ちた可能性
 もあるので捜索が続けられましたが、結局なにも見つかる事も無く行方不明で処理されました。


 「海には見てはいけないモノが居るんだ そいつを見てしまうと引きずり込まれて、同じように
 苦しみもがきながら、暗い海の中をさ迷う事になるんだ。 もしかしたら、その婆さんも引きずり
 込まれたのかもしれねぇなぁ〜。」

  引きずり込まれた老婆の身体はもがき苦しみながらさ迷い続け、老婆の霊魂だけは堤防に残り
 釣り人に注意を伝えてるのかもしれません。



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  海に落ちた釣り人が階段で上がって来たら、きっと恐怖で気を失うね。  全身昆布まみれ
  だったりした日にゃ…
   で!でたぁああああ (;Д) ゚ ゚  目もッ
 
   
 








釣り場で聞いた少し怖い話  怖い話・第十七話  モニター 釣り場で聞いた少し怖い話


 
  見えない霊(モノ)は私達の身の回りにたくさん居るのかもしれません。
 実際に見える人も居るといいますし、写真として移りこむ場合には心霊写真となって
 写りこみます。

  時代はデジタルになり車などにもバックモニターが装備されたりしています。
 しかし、霊の集まる場所や海のそばなどでは注意して見て下さい。
  もしかしたら、この世のものではないモノが写り込んでいるかもしれません。

  今回は、そんなお話を紹介しましょう。


  その二人は釣り仲間で、釣りスタイルも似ていることから何時も一緒に釣りを
 楽しんでいました。 シーバス、メバル…特に対象を絞ることなく釣れる魚を釣
 るのですが、その日も二人は深夜の釣りを楽しんでいました。


  「お!ナイスメバル!」

  意外と釣り荒れた港のはずなのに、良型のメバルが良く釣れます。 灯りも程
 よくありメバルにはうってつけの釣り場です。

  「こんな釣り場に人が居ないのも珍しいよな〜」

  二人は特に気にするでもなく、メバル釣りを楽しみました。 

  「また!来た!!」

  
  …
  しばらくして潮が止ったのでしょうか、食いが落ち始め二人は車で少し移動する
 事にしたのです。

  ガチャリ…バタッ   ピーピーピー 

 「うわっ!」

  慌てて急ブレーキを踏みました。 

 「な、なんだよ」

  バタッ! 顔色を替え降りて行ったのでもう一人も降りました。

 「何か踏んだのか?」 

 「いや… 気のせいか…」

  聞いてみると何か人のようなものがバックモニターに写ったのだというのです。
 それにしても釣りしてる最中には誰にも会いませんし人の気配もしません。

 「見間違いだろう…」  

  二人は車に戻りました。 今度は運転手は窓を開けて後ろを確認しながらバック
 始めました。

 「あ!危ない!!」  ギギッ!

 「な、なんだよ〜」
 
  今度は助手席でモニターを見ていた方が叫んだのです…。

 「何か写った! 人が居るんじゃないのか」

  
  実際に窓を開けている方には何も見えません。 二人は不気味になって、窓を
 しめその場を立ち去りました。

     釣り場の怖い話、カーナビに移りこむ霊魂


  その日は結局、そのまま帰る事になりました。 特に怖いとか言う事では
 無かったのですが、不気味な体験と釣れない時間帯と言う事もあったのでしょう。


 ぴぴぴぴぴ… …ぴぴぴぴぴ…  …


 暗闇で携帯電話が光り、着信を知らせる音が鳴り響きました。 釣りから帰宅し
釣具を片付け寝ようとした矢先でした。
 
 「なんだよ〜、今何時だと…」

 「あ、あのさ…、今メールで今日の釣り写真を送っといた… み、見てみろよ…」

 「明日で良かったのに… 仕方ないなぁ 見るよ」
 
 携帯を確認すると写真が3枚添付されています。

 「うわっ」

  思わず携帯電話を投げそうになりました。 そこにはカーナビで見た姿と同じ
 モノが写ってました。 
  ハッキリとは写ってませんが確かにカーナビに写ってたモノと同じで、携帯写真
 で見るとそれが人影である事が判りました。


  後で二人で調べたのですが、その釣り場は幽霊が出る釣り場として有名な場所で
 不審な事故が相次ぎ、その話を知る釣り人は足を踏み入れない釣り場だったのです。

    釣り場の怖い話、心霊写真は実際にあるのだろうか…
 
  世間はデジタル映像の時代に突入しましたが、稀に写ることのないモノもが記録
 され、映像となる事が実際にあるらしいです。

  光りの加減…偶然…大半の心霊写真はそんな自然と偶然の悪戯が原因です。
 しかし稀に、本物の霊が写りこんでいるのかも知れませんね。



    釣り場で聞いた少し怖い話 釣り場の怖い話に戻る 釣り場で聞いた少し怖い話

   
  右のメバルの写真は本当に怖いです…。 何か…映り込んでますね…メバルを
 持つ手が二重に写ってるばかりか…一匹だったメバルも二匹居るように見えます…
 ((;´・ω・`))ガクガク そっちかぁ〜
 


   
 








釣り場で聞いた少し怖い話  怖い話・第十八話  人柱 釣り場で聞いた少し怖い話


 
  土木工学の発展した現在、川や河口はコンクリート製の堅固な構造物が作られ
 人々の生活を守っています。

  現在でこそ水害は滅多に起こらなくなりましたが、狭い日本は一気に流れる川が
 多く大規模水害の数は記憶されているだけでも数多くあります。 作っては崩れ…
 流され氾濫し、人々は幾度と無く河川工事に挑んだ事でしょう。

  まだ神々の存在が近く感じられていた頃、自然災害は神々の怒りの象徴とされて
 いました。 その怒りをなだめる為や出来上がった構造物に生贄を捧げる事で、その
 構造物は一種の神憑り的な力を得るように思われてきたのです。


  日本の歴史の少し前までは築城された城や氾濫を繰り返す堤防、水を制する水門
 や大きな橋には普通に人柱なる生贄が捧げられてきたと聞きます。


  自分から望んでなる人柱も居れば、無理やりや強引に生き埋めにされた人柱も多
 く工事労働者として働かせ工事の終わりは生きたまま人柱にする例も多かったと聞
 きます。

  最後に生きたまま埋められた者たちは、何を考えて死んでいったのでしょう。
 怒り! 悲しみ…呪い… 生身は朽ちて果てても、その最後の思いはその場にとり
 憑き呪縛霊となってうろついています。

    釣り場の怖い話。人柱のあるような水門。川辺の呪縛霊
  
  人柱が行われた事実が歴史に残り。 その近くに供養塔などがある場合はいいの
 でしょうが、その昔は普通に全国で人柱と言う風習は行われていたと聞きます。 
  特に川の氾濫を抑える水門や堤防には、名もない小さな構造物にまで人柱が埋め
 られている場合があります。


  夕方や明方…まだ日の位あいだに釣りをする時には十分に注意して下さい。川の
 橋・水門、土手。海では灯台・防波堤・港など釣り人が好みそうな釣り場は特に
 注意しましょう。

  無念の死をとげた思いは、長い時を経て激しい怒りと共に怨念となっています。
  暗い水面下よりこちらを覗き込み、油断した瞬間に同じ苦しみを与えるべく水面
 に引きずり込まれるかもしれません。
  絶えず薄暗く冷たい水面下よりこちらを嫉む様な視線で覗き込んでいます。

  特にお盆の季節、昔から水辺に近づく物ではない。殺生をしてはいけない…など
 と言い伝えがあります。 お盆の時期は昔から、生と死の世界の境の均衡が崩れる
 のでしょうか? 水辺の事故は特に増えます。 もしかしたら、昔の人達はお盆の
 時期には水辺が危ないと警告しているのかもしれませんね。


  もしも釣り場で何かの視線、背筋の凍るような寒気・悪寒・鳥肌が立った時には
 本能がこの世の者では無い危険を感じているのです。

  十分に気をつけて釣りを楽しんで下さい。



    釣り場で聞いた少し怖い話 釣り場の怖い話に戻る 釣り場で聞いた少し怖い話

   
  この人柱の話…自分で書いといて思い出さなくてもいいのに、夜釣り場で思い出
 す時があります。
  (( ̄д ̄;)) 自分で書いといて自分で怖がる…。 まさにミイラ盗りがミイラに
 なってます。 時々行く岡山県の児島湾締め切り堤防。ここにも人柱が埋まってる
 らしいのですが、夕方に釣りしてると大きなボラがジャンプします。
  (;゚Д゚)!!! 音にビビルので止めて欲しいなぁ〜。




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 道しるべ

  釣り場の怖い話(一話〜九話)はこちら


  釣り場の怖い話(十〜十五話)はこちら

  釣り場の怖い話(十九話〜)はこちら

  釣り場の怖い話(二十七話〜)はこちら




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